読譜に挑戦 4.拍子 —音楽のリズムの根底にあるもの—

こんにちは、モリスラです。

 

前回のブログでは主に音の長さの表記(音価)について見てきました。

今回は拍子について見ていきましょう。

前回のブログでも話しましたが、音楽にはある一定の間隔で周期的に感じられるリズム「拍」があります。

そして拍には強拍と弱拍があり、この連なりが「拍子」です。

この強拍と弱拍はあくまでも心理的に強く感じられる拍とそうでない拍という意味であり、実際の音の強さとは関係ありません。

楽譜では、この連なりの1周期分を1小節として縦線で区切られて書かれます。

 

拍子記号  英:time signature /meter signature /measure signature

拍子を表す記号は曲の最初には必ず書かれます。

このように音部記号のあとに分数の形で表されます。

読み方は左から分数のように4分の4拍子、4分の3拍子、8分の6拍子というように読まれ、

分母は1拍となる音符の音価を表し、分子は分母の音符が何拍で1小節が構成されるかを表します。

他の言い方をすれば、1小節に分母の音符が分子の数だけ入る拍子ということです。

4/4拍子は1小節に4分音符が4つ分入り、6/8拍子は1小節に8分音符が6つ分入るということになります。

見た目は分数ですが数学の分数とは意味が違いますので、約分などしないでくださいね(笑)

(分母に来る単位の音符をどの音符に定めるかは決まりはありませんが、書きやすさ、読みやすさから多くは4分、8分、2分音符が分母の音符に選択されます。音楽のスタイルや曲のニュアンスによって慣例的に決まることが多いです。

4/4拍子と2/2拍子を慣例的にそれぞれこのように表すこともある。

 

拍子が曲の最後まで変わらなければ、拍子記号は最初以外には書かれません。

曲の途中で拍子が変わることは稀ですが、変わる場合は、変わる小節のあたまで都度表記されます。

世にあるほとんどの音楽には拍子があり、ほとんどの曲は最初から最後まで同じ拍子がリズムを支配しています。

それでは拍子の種類を見ていきましょう。

 

単純拍子 英: simple meter

基本となる拍子です。

2拍子 2/4、2/2拍子などがあり、歩行から発生したと言われる。強-弱の拍からなる。

行進曲(マーチ)はこの拍子の代表格。

マーチや舞曲、クラシックの早めのテンポの曲に多いですが、ポピュラー音楽などではあまり目にしないかもしれません。

Pomp and Circumstance No.1 (威風堂々):E. Elgar

3拍子

3/4、3/8、3/2拍子などがある。強-弱-弱の拍からなる。

ワルツはこの拍子の代表格。

ジャズやポップスでもたまに登場しますが、4拍子に比べるとかなり少ないでしょう。J-POPでは稀です。

 ハッピーバースデートゥーユー:M. J. Hill & P. S. Hill

4拍子

4/4、4/2、4/8拍子などがある。強-弱-中-弱の拍からなる。

ロック、ジャズ、ポップスなどポピュラー音楽の大部分を4/4拍子が占めます。

 Auld Lang Syne(蛍の光):トラディショナル

 

複合拍子 英:compound meter

1拍が3つのリズムに分割される拍子。したがって、1拍を表す音符は付点音符で書かれます。

6、9、12拍子と名前がついているが、実際にはそれぞれ2拍子、3拍子、4拍子としてとらえるべきで、その1拍の中に小さな3拍子が入っているように考えると理解しやすいと思います。まさに「複合」拍子ですね。

6拍子

6/8拍子などがある。1拍を3分割する2拍子である。強-弱-弱-中-弱-弱

1拍は小単位3つ分の付点音符で表される。6/8ならば1拍を付点4分音符で表す。

西洋各地が起源の舞曲や、数は多くないですがロックやポップスにもあります。

Sicilienne(シシリエンヌ):G. Fauré

9拍子

9/8拍子などがある。1拍を3分割する3拍子強-弱-弱-中-弱-弱-中-弱-弱

12拍子 12/8拍子などがある。同様に4拍子の1拍を3分割した拍子である。

クラシック作品以外ではあまり見かけることはないでしょう。

Beautiful Dreamer(夢路より):S. Foster

12拍子

12/8拍子などがある。1拍を3分割する4拍子

スローブルースやロック、ポップスにも稀に使われます。

Nocturne(ノクターン) op.9-2:F. Chopin

 

混合拍子(特殊拍子) 英:complex meter /irregular meter

単純拍子を組み合わせた拍子やその他の拍子。

 

例えば3+2拍子を組み合わせた5拍子、4+3の7拍子、3+3+2の8拍子、2+2+3+2+2の11拍子などがあり、組み合わせは多種多様です。

同じ5拍子であっても、2+3であったり3+2であったりとリズムの分割が異なる場合があります。

また、強-弱-弱-弱-弱という、組み合わせでない、いわば真正の5拍子という場合もあります。

ほかには、9拍子であっても、前述の複合拍子でなく、4+2+3といった混合拍子であるということもあります。

 

現在主流となっている西洋音楽には元来このような拍子の発想はなかったが、ブルガリアなどの黒海周辺の民族音楽や、インドやアラブの民族音楽などにはこのような複雑な拍子の曲がありました。

クラシックやジャズ、ロック、ポップに至っても、意外性や新たなリズムの探求から取り入れられてきました。

特殊な拍子の曲は巷に多くあるというわけではないので、実際の曲を聴いて体験してもらったほうがよいと思います。

ぜひ検索して聴いてみてくださいね。笑

5拍子の例

組曲「惑星」より 火星:G. Holst

この曲は全曲通して5拍子である。

 


多くの曲が最初の拍子を維持したまま終わりますが、曲の途中で拍子が変わる曲もあります。

曲調が変わるときに拍子が変わったり、一時的に異なる拍子が挿入されたりします。

 

また、数小節ごとに周期的に拍子が変化したり、目まぐるしく拍子が変わる曲などもあります。

このような曲を変拍子(英:mixed meters)の曲と言ったりします。

変拍子という用語は前述の混合拍子のことを指すときもあるので注意が必要です。

このような曲は新たな表現の追求から近代のクラシック、現代音楽、近年のジャズやロックにありますが、

拍子が常に変化するということは拍子の否定にも繋がり、拍子がはじめから楽譜に記載されない曲などもあります。

拍子(拍)、ビート、リズム、テンポ、グルーヴ

これらのことは意味が似ている部分もあり、同じような意味で使われることもあるのですが、細かく分けて使われる場合、どのような違いがあるのか書いておきたいと思います。

 

今回のテーマである拍子は、心理的に強い拍と弱い拍の連なりであると言いました。

これは具体的に言うと、拍の位置にたとえ音が鳴っていなくとも、そこには拍が存在しているということです。

このようなリズムがあったとして、強拍の場所には休符がありますが、少なくとも演奏者は休符の位置に「強い拍」を感じています。(あまりに短い限定的な断片なので聞く者にはこの楽譜のような拍子には感じられないかもしれませんが。)

 

ビート(英:beat)は拍子のそのまま英訳としての意味と、リズムセクションのある音楽でのドラムビートのことを指す場合があります。

8ビートや16ビートという言葉を聞いたことがあると思います。

この場合のビートは拍子とは違い、その楽曲を通して実際に(主にリズム楽器で)鳴らされている規則的なリズムです。

8ビートは、4/4拍子の楽曲でドラムなどが8分音符を基本としたリズムを曲を通して刻んでいますし、

16ビートは同じ4/4拍子の楽曲でドラムなどが16分音符を基本としたリズムを曲を通して刻んでいます。

クラシック音楽などでは曲を通して一定のリズムが刻まれるということはあまりないので、主にポピュラー音楽で重要となる概念です。

 

リズム前回のブログでも書いたとおり、このなかでも一番広い意味を持ち、広い意味としては時間の経過を感じさせる音の連続を指します。

より一般的に言えば、リズムは拍やビートの上でどのようなタイミングで音が刻まれるかを指します。

 

テンポは曲の速さです。もっと具体的に言えば拍の長さを表します。

拍の長さが短ければ速いテンポ、長ければ当然遅いテンポになりますね。

速いテンポ、速いリズム、というふうに似たような意味で使われることもあるのですが、リズムとは意味が違います。

例えば、楽譜上で細かいリズムでたくさん音符が書かれていたら、速い複雑な曲のように感じるかもしれませんが、テンポは別に設定される要素なので、その曲のテンポが遅ければ楽譜から受ける印象と実際の曲は違うかもしれません。

もちろんその逆の、1小節に書いてある音符は少ないのにすごくテンポの速い曲というのもあります。

 

グルーヴというのは言葉としてはこれら他のものより新しいですが、概念としてはどんな音楽にも通ずるものがあると思います。

一言で言ってしまえば、「ノリ」のようなものですが、それはテンポやリズム、音の強弱などによって作られる、音楽の「揺れ」ということができるでしょう。

このグルーヴというものは基本的に楽譜に表記することができないものです。

時計のような正確なリズムでなく、均等でないリズム分割や、楽譜に書いてあるとおりのジャストなタイミングでない音などによって、独特のノリが生まれてきます。

ジャズではスウィングのリズム(後のブログで説明します)など、グルーヴはとても重要な概念ですが、たとえばクラシックのワルツなどでも3拍子のそれぞれの拍が均等なタイミングでなく、3拍目が加速するような「ノリ」があったりと、音楽のスタイルや演奏者の個性などによって多種多様に存在する、音楽の重要な要素です。

このノリというものは、基本的に楽譜上には示されない情報であるため、音楽のスタイルのルーツや演奏の習慣を知ることなどで、演奏者が身につけていくものだと言えます。

 

 

それではまた。

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